残波


誰思うゆえの痛み。
誰思うゆえの悲しみ。
足元を波がさらってゆく。

忸怩たる過去を、
看過できぬ怒りを、
語ることない胸臆を。

消えてゆく時間の上に
今が重なる刹那を見逃さないように。
刻まれた憂いで
その心を閉ざさぬように。

東雲に浮かぶひと筋の暁雲を見上げ、
波音に包まれて。

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